エッセンシャルオイル(精油・アロマオイル)の基礎知識

妊娠中の精油の禁忌について(妊婦にとって危険なもの?)

エッセンシャルオイル(精油)

アロマテラピーやエッセンシャルオイル(精油)について書かれた書籍やインターネットの情報の中に、「○○のエッセンシャルオイル(精油)は妊娠中の使用は厳禁」など、妊婦に対する禁忌が書かれているものをよく目にします。当店にも、「妊婦が使っても安心な精油は何ですか?」「精油が妊婦に危険と知らずに使っていたのですが、大丈夫でしょうか?」という問い合わせがよくあります。妊婦に対する精油の危険性についての情報はかなり混乱していると言えます。中には「○○の精油を使うと流産や妊娠中毒症を引き起こす場合がある」など、怖いことが書かれているものもあり、ご心配されるのも無理ないと思います。また、禁忌にあげられている精油の種類も、情報源によってまちまちで、一体何が本当なのか、よくわからないと思っている方も多いのではないでしょうか。


意外に思う方もおられるかもしれませんが、結論から言いますと、当店で販売している精油は、どの種類であっても、芳香浴程度の使用で、妊婦が流産や妊娠中毒症などの事故を起こしたり、母体や胎児になんらかの悪影響を与えたりする心配は全くありません。どうぞ安心してお使いになってください。好きな香りを嗅いで、妊娠中のストレスを和らげ、リラックスすることは、母子ともに良い影響を与えますので、心地よい芳香浴を楽しんでいただければと思います。(※但し、ごく一部に、妊娠中は芳香浴であっても使用を控えるべきでと考えられている精油が全くないわけではありませんが、当店では、そもそもそうしたものは一般のお客様向けには販売しておりません。)


では、アロマバスマッサージ(トリートメント)など、肌に触れる形での使用についてはどうでしょうか?当店では、妊娠中の場合、妊婦のデリケートな身体を考えて、「軽い芳香浴程度の使用に留め、マッサージ等身体に触れる形での精油の使用は念のため控えてください。」と商品に同封の注意書き等でご説明しています。以下は、これを守っていただくという前提でお読みください。


あまりに精油の妊婦に対する禁忌の情報が氾濫しているので、驚かれる方も多いと思いますが、実はこれまでに、通常のアロマテラピーの使用範囲内で精油を用いて、妊婦に流産や中毒症などの事故が起こったという事例は、一例もありません。「通常のアロマテラピーの使用範囲」というのは、「外用」すなわち、アロマバスマッサージ(トリートメント)も含みます。「内服」、すなわち精油を飲んだ場合は話は違ってきますが、そもそも精油は妊婦であるか否かに関わらず、医師の指導がない限りは絶対に飲んではいけないものですので、これは論外の話になります。


精油の妊婦に対する禁忌は、特に日本ではあまりに誇大に伝えられていると言えます。アロマテラピーの入門書にも「○○の精油は妊娠中は使用厳禁」などとよく書かれていますので、一般の人は、香りを嗅いだり、少し肌に適用しただけで、事故が起こる可能性があるという大きな誤解をしてしまうのも無理ありません。精油の芳香浴を心配する以前に、タバコの副流煙やカビ取り剤など妊婦が避けるべき匂いの成分は身の回りにいくらでもあります。ローズやゼラニウム等の精油が配合された化粧品も数多くありますが、そうしたものに「妊娠中は使用してはいけません」などと書かれたものを見たことがある人はいないでしょう。ローズマリーの香りを少し嗅いだだけで、本当に妊婦に何らかの危険があるのなら、イタリア料理店には妊娠中には近づかないほうが良いということになってしまいます。著名なアロマテラピーの研究者の中には、「書籍に書かれている妊婦に対する禁忌についての説明は、その本の著者がいかに無知であるかを表わしているようなものだ」とまで言う人もいます。


では、どうしてこれほどまでに精油の妊婦に対する危険性は過度に喧伝されるようになったのでしょうか。はっきりした理由は分かりませんが、現在よりもはるかに性倫理が保守的であった時代に、女性が故意に流産を引き起こす目的で精油を飲用することがあったようです。意図せぬ妊娠で半ばパニックになった少女が、流産を引き起こすと信じられていた精油(ペニーロイヤル)を大量に飲むという無謀な行為に走ることがありました。こうした事例は医学雑誌などの記録にも残されています。精油の飲用によって企て通りに流産した事例もありますが、母体が重篤な状態になったり、死亡してしまうという悲劇も少なくなかったようです。これは、精油が流産を引き起こすということではなく、精油の大量服用によって母体が深刻な中毒になり、その結果として妊娠を維持できなくなって流産するというだけのことです。中絶手術も困難で、また情報も乏しかった時代に特定の精油が「流産促進剤」として働くと信じられていたようです。


こうした歴史的な事情の上に、アロマテラピーに携わる一部の人たちの特定の意図が働いて「精油=妊婦にとって危険」という情報が流布されていったのではないかという説があります。これに関して、あるアロマテラピー研究者が著書の中で興味深いことを述べています。それは、一部のアロマセラピストと呼ばれる人たちが自らの権威付けのために精油の危険性を過度に強調してきたというものです。つまり、「精油は危険なもので、素人が簡単に扱えるものではありません」と主張することにより、自分達の「専門家」としての地位と立場を高めたいという歪んだ意図があるというわけです。特にアロマテラピーの草創期には、それに携わる職業の社会での認知度は低く、現状への不満からそうした意図が助長されていったことが考えられます。こうした背景から広まった情報を、根拠を確かめもせずに、そのまま著書やインターネット上で引用することが繰り返されているうちに、いつのまにか誤った情報が広く流布してしまったというのが実際のところではないかと思われます。



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