香りの好みの個人差は、一般に想像されている以上に大きいです。
当店ではお客様から、
「お友達にプレゼントするのですが、お勧めのエッセンシャルオイル(精油)を教えて下さい。」「あまり精油のことがまだよくわらからいのですが、どの香りがお勧めですか?」
といったご質問を頂戴することがあります。
とても素朴なご質問なのですが、実はお答えするのが大変難しいご質問の1つです。もちろん、何か特定の使用目的や求める効果があれば、お勧めするエッセンシャルオイル(精油)は自然と決まってくるのですが、こうしたご質問をされる方は漠然と「心地よい香り」を求めておられると思います。
ところが、香りの好みに関する個人差というのは、一般に想像されているよりも遥かに大きなものです。全ての人にとって「心地よい」と感じられる香りは、あまり多くはないのです。
社団法人日本アロマ環境協会(旧日本アロマテラピー協会)が発行している会報誌(52号18頁)の中で、香りの好き嫌いを尋ねたアンケート結果が掲載されていました。それを表に纏めたのが下のものです。
圧倒的な得票数で「好きな精油」の1位にランクインしているのがラベンダーです。ラベンダーはアロマテラピーで最も頻繁に使われるエッセンシャルオイル(精油)ですので、順当な結果と言えます。2位はバラの精油、ローズです。ローズは最も美しい香りと言われることもあるエッセンシャルオイル(精油)で、多くの方が納得される結果と言えるでしょう。
ところが、ラベンダー、ローズは「嫌いな精油」にも、それぞれ16位と14位にランクインしています。この2つの精油が大好きな方は、嫌いな人がそんなに沢山いるということに驚かれるかもしれません。もちろん「嫌いな精油」といっても「不快に感じる」というわけではなく、「それほど好きではない」ぐらいの意味でアンケートに答えた人も含まれているでしょう。それでも、この結果を見ただけで「自分が心地よいと思う香りが、必ずしも他の人にとってそうではない」ということがよくわかると思います。
更に注目されるのは「嫌いな香り」の1位になっているイランイランが、好きな香りの5位に入っていることです。イランイランは数あるエッセンシャルオイル(精油)の中でも、特に個性的な香りがしますので、好き嫌いが大きくわかれますが、この結果もいかに香りの好みの個人差が大きいかを物語っています。
他の精油をみても「好きな精油」の上位20位のうち13種が「嫌いな精油」の上位20位以内にランクインしています。ランクインしていないのは、表中オレンジ色で表示されている7種類のみです。7種類のうちペパーミントとマージョラムは「嫌いの精油」の中の「その他」の中に含まれていますので、好きな精油上位20位の中で1人も「嫌いな精油」としてあげなかったのはベルガモット、ローズウッド、オレンジ・スイート、グレープフルーツ、レモンの5種のみということになります。
5種のうち、ローズウッドを除いては全て柑橘系です。こうしたアンケートを見ても、人に勧めたり、贈り物として選んだりする場合は、柑橘系を中心に選ぶのが好ましいと言えると思います。
柑橘系の香りを「苦手」と感じる人には、これまで会った事がありません。ただ、柑橘系の香りはあまりに馴染み深すぎるので、贈り物にする場合少し印象が弱いかもしれません。
このため、当店では、ラベンダー+オレンジ やマージョラム.+オレンジ といったリラックス系の精油+柑橘系という組み合わせをよくお勧めします。ラベンダーとマージョラムはいずれも柑橘系の香りと相性が良いエッセンシャルオオイル(精油)です。柑橘系とブレンドすると、ラベンダーやマージョラム単独では苦手という人にとっても、心地よい香りになることが多いようです。いずれも心を鎮めてリラックスさせてくれる香りですので、寝室での芳香浴やアロマバスの香りとしても適しています。贈り物をお考えの場合は、こうした精油を組み合わせて、アロマランプなどとご一緒にお送りいただくと、喜んでいただけると思います。