エッセンシャルオイル(精油・アロマオイル)の基礎知識
アロマテラピーを通じてエッセンシャルオイル(精油)というものを知った方の中には、そもそも精油というのはアロマテラピーで使用するために生産されているものだと思っている方もおられるようです。実際には、世界中で生産されているエッセンシャルオイル(精油)のほとんどは、アロマテラピーではなく、工業用の原料として消費されています。
エッセンシャルオイル(精油)が原料として使われている製品は、私達の身の回りにも沢山あります。化粧品類、シャンプー、石鹸、洗剤などの中には、精油が原料として入っているものがたくさんあります。食品のフレーバーやフレグランスとしても精油が添加されることがあります。また、精油から特定の成分を取り出したり、加工を加えたものが、化学原料として工業用に使用する場合もあります。こうした様々な工業用原料として使用されるエッセンシャルオイル(精油)の量に比べると、実際にアロマテラピーで使用されるものはごく少量です。
「中級編 エッセンシャルオイルの品質を決める要素」でご説明したように、アロマテラピーでの使用に適した高品質のものを生産するには、たくさんの複雑な条件を満たすことが必要です、一方で、工業原料用に調達されるエッセンシャルオイル(精油)は、品質よりもコストが優先される場合がほとんどです。
こうした事情が、本来的に安心してアロマテラピーに利用できる品質レベルのエッセンシャルオイル(精油)を安定的に確保するのを難しくしています。工業用原料として使われる場合、精油に対して要求される品質レベルは、総じて高くありません。場合によっては、それらしく香っていればそれで良いから、より安いもが求められるという場合もあります。精油を消費する側のこうした事情が、品質を犠牲にしてもコストを抑えたエッセンシャルオイル(精油)の生産を促すようになっており、偽和と呼ばれる偽装行為の横行という大きな問題を生んでいます。(詳しくは「中級編 消費量が生産量の2倍以上? 偽和について」をお読みください。)